【JR新大阪駅】新幹線26番線のホームドアは「国内最長」
最近は、在来線だけでなく新幹線の駅でも、安全面の観点から駅にホームドアを備えたところが増えてきました。
そんな中、東海道・山陽新幹線の新大阪駅26番線にホームドアが設置され、明日12月5日から稼働を開始するという発表がありました。
【社長会見】東海道新幹線新大阪駅26番線への大開口可動柵設置完了について
-2019/12/04付 JR東海プレスリリース(pdf)
(2019/09/08@JR新大阪駅)
新大阪駅新幹線ホームのホームドア
新大阪駅の新幹線ホームは、20番線〜27番線の8線あります。このうち、最も新しい27番線だけは2013年の運用開始当初からホームドアが設置されていました。
(新大阪駅26番線側から見た、27番線のホームドア。2019/09/08撮影)
今回、26番線に設置されたホームドアは、JR東海によると開発に2年掛かったとか。
なぜかというと、新大阪駅に入線してくる新幹線列車には8両編成(500系・700系レールスター・N700系九州新幹線直通用)と16両編成(N700系・N700A)とがあり、乗降扉位置の異なる両方の編成にホームドアを対応するには開口部を従来よりも広くとらなければならなかったからです。
その結果、従来の新幹線ホームだと扉の長さが3.4mだったところ、5mにまで伸びることになりました。この長さは、車輪のない片持ち構造のホームドアとしては国内最長だそうです。
今後、同様のホームドアを20〜25番線にも順次設置予定で、工事完了は2022年度とまだ先の話です。営業時間内にはホームドア設置工事はとてもできないはずで、深夜帯で工事を進めていくから時間が掛かるのだと思います。
各新幹線のホームドア設置状況は
ここで、全国のフル規格新幹線駅のホームドア設置状況をみてみましょう。
国土交通省のホームページに、「ホームドアの設置状況」が路線別にまとめられています。個別のデータはなぜかExcelファイルでアップロードされていますが…。
【リンク】国土交通省鉄道局「ホームドアの設置状況」
これによると、2019年3月時点での設置状況は次の通りです。
■北海道新幹線:全駅
(2016/03/26@JR新函館北斗駅) ■東北新幹線:くりこま高原駅、水沢江刺駅、新花巻駅、いわて沼宮内-新青森間の全駅(八戸駅は内側の12・13番線のみ) (2010/12/05@JR七戸十和田駅) ■上越新幹線:新潟駅(11番線の在来線側のみ) (2018/05/13@JR新潟駅) ■北陸新幹線:安中榛名-上田間、飯山-金沢間の全駅(軽井沢駅は内側の2・3番線のみ) (2002/06/16@JR上田駅) ■東海道新幹線:東京駅、品川駅(上り内側の22番線は固定柵のみ)、新横浜駅、熱海駅、名古屋駅、京都駅、新大阪駅(20〜26番線は固定柵のみ) …国土交通省の資料では品川駅23番線・新横浜駅1番線が「固定柵のみ」となっていますが、いずれも2019年3月時点でホームドア設置済み。また、新大阪駅26番線は12月5日からホームドア稼働開始。 ■山陽新幹線:新神戸駅 …このほか、岡山駅下り22番のりばのホームドアが12月5日から稼働開始。 (2014/08/10@JR新神戸駅) ■九州新幹線:新鳥栖-鹿児島中央間の全駅 (2016/03/13@JR鹿児島中央駅) |
こうやって見ていくと、路線によって設置状況にバラつきがあることが分かります。
1997年10月の北陸新幹線高崎-長野間以降に開業した、一連の整備新幹線区間についてはおおむね設置が済んでいます。未設置なのは長野駅と、八戸駅2面4線のうち外側。長野駅は開業時に終点駅として通過列車がないことから設置がなく、八戸駅についても通過列車はもっぱら内側の2線を通るので、外側についてはホームドアの設置が見送られたのだと思われます。
当初未設置のホームにホームドアを増設するのは、ホームドアの重量を支えるための土台補強など手直し工事が必要で、どうしても時間が掛かりがちです。
一方、通過線のない駅配線構造だと、ホームの目の前を列車が高速で通過してかなり危険です。このような駅については、比較的早い時期からホームドアが設置されました。地形的な制約から通過線が設けられなかった東海道新幹線熱海駅や山陽新幹線新神戸駅(現在は全列車が停車)が該当します。東北新幹線のくりこま高原・水沢江刺・新花巻駅も、路線開業後に待避線を作ることなく本線上にホームを設けたので、各駅とも営業開始時からホームドアが設置されています。
まとめ
国土交通省のホームページにホームドア設置状況のデータがあるのにはちゃんと理由があって、ホームドア設置を国が安全対策として数値目標を掲げて推進しているからです。鉄道事業者に対して補助金が出る仕組みもあります。
なので、今後も新幹線各駅では利用者数の多い駅を中心に設置が進んでいくことでしょう。ただ、今回の新大阪駅のように、新しいタイプの開発が必要だったり、またホームドア自体の信頼性を高めたりと、一筋縄ではいかないのも確か。ホームドアのこれからの進化にも注目したいものです。