【ミニ新幹線】次に導入される区間は?
今年は山形新幹線が新庄まで伸びて20周年。ということで、現地では記念式典が行われました。
山形新幹線・新庄延伸20年を市民と祝福 現地で式典、さらなる誘客誓う
-2019/12/08付 河北新報電子版
1999年12月には、開業当日ではないですが年末に開業後の初乗りを果たしました。
(新庄駅で普通列車と並ぶ400系「つばさ」。1999/12/26撮影)
山形新幹線は、1992年7月にまず奥羽本線の福島-山形間を標準軌化して運転を開始。その後、新庄までの延伸工事が進み、1999年12月4日に完成。現在に至っています。
「ミニ新幹線」として営業しているのは、今のところこの山形新幹線と秋田新幹線の2つ。
では、今後「ミニ新幹線」が導入される路線はあるのでしょうか?
ミニ新幹線導入に適した条件
具体的な路線を見る前に、どういった条件が揃えばミニ新幹線が導入できるか、いくつか考えてみましょう。
フル規格新幹線が建設されていない
まず第一の条件。すでにフル規格での営業が行われていたり、建設が進んでいたりすると、二重投資なので導入はできません。
在来線の特急が一定本数走っていて、直通需要がある
ミニ新幹線の最大のメリットは、「新幹線と在来線特急の乗り換えがなくなる」点にあります。なので、同じ区間に在来線の特急がかつてのL特急ぐらい走っていることが必要です。
「今は特急が運転されていないけど、ミニ新幹線化で特急が走り出したら需要が増えるだろう」という議論もありますが、それは一段飛ばしていて、まず現在の在来線で特急を走らせてから考えた方がよいと思います。
交流電化されている(あるいは現在非電化)
なんでかというと、フル規格新幹線が全線交流電化だから。
直流電化区間に直通させるとなるとミニ新幹線用の交直流電車を開発しなければいけません。車両製造コストが高くなって、時間短縮効果の割に合わなくなります。
標準軌化した場合、代替ルートがある
貨物列車が運転されている場合は非常に大事な条件。改軌工事の間の迂回ルートを確保するためにも重要です。
山形新幹線の場合は、東北本線方面から仙山線・陸羽東線を使えば山形や新庄に行けました。秋田新幹線の場合も、田沢湖線の工事運休期間中に北上線を経由した特急「秋田リレー」号が運転されました。
新幹線からのアプローチ線を作る場所がある
福島駅や盛岡駅には、新幹線ホームから在来線へと降りてゆくアプローチ線を作るスペースがありました。これが作れないと、直通することができません。
具体的な路線候補は?
以上の条件をもとに、では具体的にミニ新幹線を導入できそうな区間はあるのでしょうか?
結論から言えば、
ありません。
一応構想はあるにはあって、例えば山形新幹線には、陸羽西線を標準軌化して新庄-酒田間を延伸する「庄内延伸プロジェクト」という構想があります。
酒田市のホームページには事業可能性の検証結果も載っています。
検証の結果は「事業可能性が成立」となっていますが、「一定の公的支援」「羽越本線の本数確保」といった条件が付いています。
現在、庄内地区と首都圏とを結ぶJRルートは上越新幹線-特急「いなほ」ですが、山形新幹線を酒田へ延伸するとこれと競合します。JR東日本としては、結局両方のルートで需要の食い合いになってしまうので、なかなか前向きにはならないでしょう。
まとめ
2000年代以降、東北・北海道、北陸、九州と各地でフル規格新幹線が続々と開業し、現在でも建設が進んでいることから、新幹線未整備の地域でも、どちらかといえばミニ新幹線よりもフル規格新幹線の方に関心が高まっている印象です。
先ほど見てきたようにミニ新幹線導入へのハードルは高いですが、並行在来線が活用できる、建設費を抑えられるといったメリットもあります。選択肢の1つとしては残しておいてもよいかもしれません。