【北陸新幹線】敦賀-新大阪間は大部分がトンネル区間に

北陸新幹線は現在金沢-敦賀間が工事中で、残る未着工区間は敦賀-新大阪間約140kmとなっています。

この区間の建設について、大部分がトンネルになることが分かりました。

11月26日、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が環境影響評価(アセスメント)の方法書を公表。その中で、区間ごとの路線概要が明記されています。

【リンク】鉄道・運輸機構|北陸新幹線(敦賀・新大阪間)環境影響評価方法書

路線の概要

方法書では、まず「路線の概要」として、

・駅については、敦賀駅、新大阪駅のほか、小浜市(東小浜)附近、京都駅、京田辺市(松井山手)附近に設置
・車両基地は1箇所設置

と明記しています。

つまり、福井県内には北陸新幹線の駅が「芦原温泉」「福井」「南越(仮称)」「敦賀」「(小浜市付近)」の5つできることになります。また、京都府内の駅は「京都」と「(京田辺市付近)」の2つ、大阪府内は途中駅なしで新大阪駅へ向かいます。

なお、具体的にどこへ線路を敷くかについてはまだ決定しておらず、方法書でもある程度の幅を持った通過予定ルートを示しているのみです。

府県ごとの詳細

方法書は通過する府県単位で作られているので、それぞれ見てみましょう。

福井県

起点となるのは敦賀駅。

(敦賀駅の駅舎。新幹線ホームができるのは、在来線ホームを挟んだ反対側。2019/07/06@JR敦賀駅)

敦賀-「小浜市付近」駅間は、敦賀市内は主に高架橋で、美浜町・若狭町は主にトンネルで通過。小浜市内は主に高架橋で通過し、駅についてはJR小浜線の東小浜駅付近に設置の予定です。小浜市付近以南は、京都府境まで主にトンネルで通過。三方五湖や周辺の国定公園は回避するとしています。

敦賀には、駅とともに車両基地が作られます。駅の南東側、JR北陸本線とJR小浜線が分かれるあたりに建設が進められていて、敦賀駅から新大阪方面の本線線路も車両基地横を通過するものと思われます。そこからは、小浜線に近いところを高架橋で抜けて、トンネルに入っていくというルートではないでしょうか。

なお、駅のイメージとして2面2線の断面構造を示していて、「小浜市付近」駅は通過線なしの構造が想定されています。

京都府

福井県境から京都駅までは、国定公園を回避したルートを選び、主にトンネルで通過。福井県側からトンネルに入ったあとは、京都駅まで約60kmの区間、窓の外はずっと真っ暗の可能性があります。

京都駅付近は、京都市中心市街地は回避し、可能な限り道路など公共用地の下の活用を考慮。必要に応じて大深度地下の活用も検討するとしています。

(北陸新幹線は京都駅に地下で乗り入れ。在来線との乗り換えをどれだけ便利にするかも課題。2016/09/25@JR京都駅)

京都駅へ南北方向に地下で乗り入れるとなると、思い浮かぶのは京都市営地下鉄烏丸線です。これと同じルート(烏丸通)でさらに地下深いところを掘っていくのは相当の難工事が必至で、そうすると1本西側の堀川通地下を進んでくるというのがあり得そうなルートです。

ただし、京都といえば平安京造営以来1200年以上の歴史を持つが故に、「地下を掘れば必ず遺跡が出てくる」と言われるほどの街。どこをどの深さで掘っても相当の時間と建設費が掛かることは確実です。

京都市内以南は、方法書の地図でも通過予定地の幅が一層広くなっています。これには、おそらく京都市内区間の事情が大きく影響しているのではないでしょうか。

京都駅から大阪府境までは、伏見酒造エリアを回避したルートを選び、なるべく直線となるように考慮しつつ、京田辺市のJR学研都市線松井山手駅付近に設置される駅を経て、大阪府境へ至ります。先ほど京都市内で通過ルートの候補に挙げた堀川通をそのまま南進すれば、第二京阪道路を経て松井山手駅の西側まで到達するので、これに近いルートが最も可能性が高そうです。

駅のイメージは、地下駅・地上駅ともに2面2線の通過線がない構造。「京田辺市付近」駅とともに、京都駅地下ホームも通過線なしとなりそうです。つまり、敦賀-新大阪間は途中駅での追い抜きができない(敦賀駅は2面4線で建設中)ことになります。

大阪府

大阪府内はトンネル構造とし、大阪市およびその周辺の都市トンネルは可能な限り道路等公共用地の下の活用を考慮。京都市中心部同様、大深度地下の活用も検討。淀川もトンネルで通過するとしています。

通過予定ルートを見ると、地上で用地を確保できそうなのは交野市付近までで、そこから西側はびっしりと建物が建ち並んでいるので地下に潜らざるを得ません。大深度地下でまっすぐ西へ進み、守口市付近から淀川の地下を通過、その後は東海道新幹線に近いルートで新大阪駅地下ホームへ到達するのが現実的です。

「地下駅のイメージ」として2面4線の断面構造を示していて、おそらく新大阪駅地下ホームがこの構造を想定しているものと思われます。なお、新大阪駅の地下については、国土交通省が「地方創生回廊中央駅構想」を打ち出していて、山陽新幹線からアプローチ線を作って同一ホーム乗り換えを可能にするなど、リニア中央新幹線大阪開業をも視野に入れた壮大な構想となっています。

以上見てきて分かるように、敦賀-新大阪間は大部分が山岳トンネルまたは都市地下のトンネルとなり、地上の明かり区間は敦賀-「小浜市付近」駅と京都-「京田辺市付近」駅の一部に留まる計画です。

現在、この区間を特急「サンダーバード」で移動する場合は、琵琶湖をはじめとした車窓風景が楽しめますが、新幹線だと車窓に日本海が姿を見せるかどうかも怪しいという、ちょっと寂しいことになるでしょう。

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