【事件】E5系「はやぶさ」、高速走行中にドアが開く衝撃のトラブル!
昨日に続いて「新幹線ビフォー・アフター」の新函館北斗駅編を…と思っていたら、昨夜に衝撃のニュースが飛び込んできました。
東北新幹線、時速280キロで走行中ドア開く 緊急停止
-Yahoo!ニュース(朝日新聞) 2019/08/21付(記事リンク)
東北新幹線、280キロ走行中にドア開く コック閉め忘れ
-日本経済新聞 2019/08/21付(記事リンク)
(E5系。当該列車とは無関係の編成です)
記事によると、21日の仙台発東京行上り「はやぶさ46号」の走行中に、9号車のドアが開き、運転士が緊急停止させたとのこと。
当時、列車は280km/hで走行中だったものの、幸いドアが開いたデッキに乗客はおらず、けが人もいませんでした。
「走行中の新幹線のドアが開く」というのは前代未聞のトラブルで、もしそこに居合わせたらと思うとゾッとします。
トラブルの経緯は
昨日の「はやぶさ46号」は、仙台駅が始発でした。
発車したのは13番ホームで、ホームに面したドアは進行方向左側にあたります。
各種報道を総合すると、一連の経緯は以下の通りでした。
始発駅として、発車前に車内清掃が行われました。清掃作業員の出入りのために、一部の車両のみドアを開けておくのですが、その際、非常用のドアコックを使っています。
ドアコックは、非常用なので普段は蓋が閉じられています。操作するためには蓋を開け、中のレバーを引けば、停車時にドアが手動で開けられる仕組みです(※必要がなければ、絶対に操作してはいけません)。
今回は9号車(グリーン車)のドアを開けたそうですが、清掃作業をする人が本来の進行方向左側だけでなく、なぜか右側の非常用ドアコックのレバーも引いて、手動で開けられる状態にしてしまいました。
また、作業終了後に、操作したドアコックを元に戻し、左右両側のドアコックの状態を確認するはずが、左側だけの操作と確認で済ませてしまったことが、デッキに設置された防犯カメラの映像で確認できたそうです。
乗客は左側のドアから乗ってくるので、右側のドアはずっと閉まったままです。ドアコックの状態はそのままながら、「はやぶさ46号」は全車両のドアが閉まったと判断して、仙台駅を発車。
仙台駅を出た「はやぶさ46号」は、ぐんぐん加速。その間、手動で開けられる設定の9号車進行方向右側ドアは、振動や風圧の影響で少しずつ開き始めてしまい、運転台でそれを検知した運転士が緊急停止させたーというのが、トラブルの経緯です。
トラブルの問題点は
大きな事故やトラブルは、1つではなくていくつもの原因が重なって起こることが多いです。今回の「はやぶさ46号」についても言えることです。
まず、清掃作業員のヒューマンエラー。
(1)関係ない側のドアコックを操作したこと、(2)清掃作業終了後のチェックを怠ったこと、が挙げられます。
ただ、人間は誰しも完璧ではなく、どんなに優秀な人でも間違うことがあります。なので、ここだけに問題のすべてを求めるのは無理があります。
人間の間違いをカバーして、サービス全体で正しい結果を導くのが、機械やシステムの役割です。
今回でいえば、ドアコックの異常な状態が乗務員に分かる仕組みであること、もっと言えば、そもそも発車できない仕組みになっていれば、トラブルは回避できた可能性が高いといえます。
しかし、実際にはE5系にはそういう仕組みは導入されていなかったようです。
新幹線車両には、「走行中に非常用ドアコックのカバーを開けたら運転台に表示が出る」仕組みは搭載されています。今年4月には、山陽新幹線の「のぞみ」走行中に乗客がドアコックを操作してドアを開け、線路上に出てしまった事件がありました。
この場合、走行中にたとえドアコックを操作してドアを開けようとしても、ドアは開きません(危険なので当たり前)。ドアを開けられるのは、運転台でドアコック操作を感知して運転士がブレーキをかけ、電車を停めてからです。
このように、<ドアコックが正常な状態から発車して、その後に発生する異常への対応>は既にできているのですが、そもそも<ドアコックが異常な状態で発車する>という事態が想定されていなかったようです。
JR東日本では、E7系に搭載されている、「ドアコックの蓋が開いていることを検知する機能」をE5系にも搭載することを検討するとコメントしています。
今回のトラブルは盲点を突かれたともいえるので、早急な対策がなされるといいですね。