【消費税率引き上げ】あと半月!JR各社の運賃料金はどうなる

きたる2019年10月1日に、消費税率が8%から10%に引き上げられます。

これによって、交通機関の運賃・料金も軒並み改定。そこで、JR各社の運賃・料金がどのように変わるか、初乗り運賃と新幹線関係にスポットを当ててみました。

(以下、紹介する運賃・料金はすべて大人)

大前提:運賃・料金の改定率は「2%」ではない

もっぱら税率の数字ばかり注目されているので、今回の改定率が新旧税率の差である「2%」だと思っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、それは誤り。

運賃・料金の消費税相当分は確かに2%アップですが、本体価格分も含めた全体を2%引き上げてしまうと、これは「便乗値上げ」です。

本体価格分が据え置きの場合、正しく税率アップ分を転嫁するための改定率は

(110÷108)-1=0.0185185… → 1.85%

が理論上の数字となります。

ただ、実際には四捨五入差などもあって、すべての運賃・料金がこの改定率とはなりません。そこで、各社は運賃や料金の刻み毎に細かく改定幅を調整して、会社全体として1.85%の引き上げになるように設定しています。

JR東海

※新幹線は「のぞみ」普通車指定席(通常期)

改定前 改定後 値上げ幅
初乗り運賃 幹線・地方交通線 140円 150円 +10円
新幹線主な区間の運賃・料金 東京-新大阪 14,450円 14,720円 +270円
東京-名古屋 11,090円 11,300円 +210円
EX予約サービス 東京-新大阪 13,370円 13,620円 +250円
東京-名古屋 10,110円 10,310円 +200円
スマートEXサービス 東京-新大阪 14,250円 14,520円 +270円
東京-名古屋 10,890円 11,100円 +210円

 

初乗り運賃は10円アップで150円になります。

一方、新幹線は代表的な区間である東京-新大阪間で270円アップ。改定率は+1.87%となっています。

理論上の改定率よりはわずかに高いですが、運賃と特急料金とでそれぞれ計算してみると、

・運賃:8,750円×110/108=8,912.0円→(10円未満四捨五入) 8,910円

・特急料金:5,700円×110/108=5,805.5円→(10円未満四捨五入)5,810円

・合計:14,450円→14,720円

となるので、10円刻みの体系ではこれが限界です。

エクスプレス予約関連の運賃・料金も軒並み引き上げ。EX予約サービスの東京-新大阪間現行13,370円は、サービス開始当初13,000円とキリの良い金額だったのが、2014年の消費税率5%→8%引き上げの際に108/105倍値上げされたものです。今回も、きっちり110/108倍値上げされています。

なお、エクスプレス予約で10/1以降に乗車する商品を「9/30 23:30までに」購入した場合は、10/1以降に列車・乗車日・乗車区間・設備を変更する場合や、e特急券からEX予約サービスへの変更など異なる商品へ変更する場合も改定前の運賃・料金が適用されます。

あと、指定席特急料金と自由席特急料金の料金差が、改定前の520円から改定後は530円に10円大きくなります。繁忙期200円増し・閑散期200円引きの金額は据え置きです。これらは、JR各社共通となっています。

 

(参考)

消費税率引上げに伴う運賃・料金改定の認可申請について(pdf)

EX予約|2019年10月 消費税率引上げに伴うお知らせ

消費税率引上げに伴う「エクスプレス予約」「スマートEX」及び「お得なきっぷ」の発売価格の改定等について(pdf)

 

JR西日本

※山陽新幹線は「のぞみ」「みずほ」普通車指定席(通常期)

改定前 改定後 値上げ幅
初乗り運賃 幹線・地方交通線 140円 150円 +10円
電車特定区間・大阪環状線内 120円 130円 +10円
山陽新幹線主な区間の運賃・料金 新大阪-岡山 6,230円 6,350円 +120円
新大阪-広島 10,440円 10,630円 +190円
新大阪-博多 15,310円 15,600円 +290円
北陸新幹線主な区間の運賃・料金 東京-富山 12,730円 12,960円 +230円
東京-金沢 14,120円 14,380円 +260円

 

JR西日本の初乗り運賃は2種類あり、そのうち京阪神の「電車特定区間」と大阪環状線内では、実に国鉄民営化以来(さらに遡ると、1982年の国鉄運賃改定で110円→120円に上がって以来)ずっと据え置かれてきました。

消費税導入とその後の2回にわたる税率引き上げでも、他のJR各社が初乗り運賃を引き上げる中、唯一据え置きを維持してきましたが、今回ついに値上げ。それでも、130円はJR6社の中で最安水準です。

新幹線の運賃・料金は、山陽新幹線の新大阪-博多で+1.89%、北陸新幹線の東京-金沢で+1.84%のアップ。北陸新幹線のJR西日本区間は2015年開業なので、消費税率引き上げに伴う運賃・料金の改定は今回が初めてとなります。

なお、博多南線の列車に適用される特急料金は100円で据え置かれます。運賃の方も、博多-博多南間8.5kmに適用される7〜10kmゾーン200円は今回据え置きなので、10月以降も博多南線は300円で乗ることができます。

(参考)

消費税率引き上げに伴う運賃・料金改定について(pdf)

JR九州

改定前 改定後 値上げ幅
初乗り運賃 幹線・地方交通線 160円 170円 +10円
九州新幹線主な区間の運賃・料金 博多-熊本 5,130円 5,230円 +100円
博多-鹿児島中央 10,450円 10,640円 +190円
九州ネットきっぷ 博多-熊本 3,600円 3,670円 +70円
博多-鹿児島中央 9,260円 9,430円 +170円

 

JR九州の初乗り運賃は10円アップの170円に。JR九州・JR四国・JR北海道のいわゆる「三島会社」は、バブル崩壊後の景気低迷による経営環境の悪化を受けて1996年に独自に運賃・料金改定を行いました。この時から、本州3社とは初乗り運賃に格差が生まれています。今回の改定でも、その格差は維持されることに。

新幹線の運賃・料金は、ドル箱である博多-鹿児島中央間で+1.82%とほぼ理論値通りの値上げ。

JR九州の割引きっぷとして代表的なのは「2枚きっぷ」ですが、こちらも消費税率引き上げ分が値上げになります。

(参考)

消費税率の引上げに伴う運賃及び料金の変更について(pdf)

消費税率の引上げに伴う割引きっぷの価格改定について(pdf)

JR東日本

※東北新幹線は「はやぶさ」普通車指定席(通常期)

改定前 改定後 値上げ幅
初乗り運賃 幹線・地方交通線 IC:144円

きっぷ:140円

IC:147円

きっぷ:150円

IC:+3円

きっぷ:+10円

電車特定区間・山手線内 IC:133円

きっぷ:140円

IC:136円

きっぷ:140円

IC:+3円

きっぷ:0円

東北新幹線主な区間の運賃・料金 東京-仙台 11,200円 11,410円 +210円
東京-盛岡 14,740円 15,010円 +270円
東京-新青森 17,350円 17,670円 +320円
秋田・山形新幹線主な区間の運賃・料金 東京-秋田 17,800円 18,120円 +320円
東京-山形 11,340円 11,550円 +210円
上越・北陸新幹線主な区間の運賃・料金 東京-新潟 10,570円 10,760円 +190円
東京-長野 8,200円 8,340円 +140円
モバイルSuica特急券 東京-仙台 9,970円 10,150円 +180円
東京-新潟 9,670円 9,850円 +180円
東京-金沢 13,380円 13,620円 +240円

 

JR東日本は、2014年の消費税率引き上げの時にICカード限定で「1円刻み運賃」を導入しました。紙のきっぷと運賃が異なることで当初は混乱も予想されましたが、現在はほぼ定着した印象があります。

今回の改定では、ICカードの場合1円刻みを生かしてほぼ税率アップ分を転嫁。一方、きっぷの場合は、多くの区間で10円アップの150円とする中で、山手線内や電車特定区間では140円のまま据え置く対応となりました。

これで、きっぷの場合は東名阪大都市圏のJRで東京140円・名古屋150円・大阪130円と三者三様の初乗り運賃となります。

新幹線の運賃・料金はおおむね税率アップ分の引き上げ。モバイルSuica特急券(モバトク)や、列車を限って格安の料金設定を行うスーパーモバイルSuica特急券(スーパーモバトク)も値上げとなります。

(参考)

2019年10月1日、消費税率引上げに伴う運賃・料金改定について

消費税率引上げに伴う「えきねっと」JR券申込サービスの運賃・料金等の改定について(pdf)

モバイルSuica特急券「モバトク」

JR北海道

改定前 改定後 値上げ幅
初乗り運賃 幹線・地方交通線 170円 200円 +30円
北海道新幹線主な区間の運賃・料金 新青森-新函館北斗 7,260円 7,720円 +460円

 

JR北海道は、他のJR各社とは変動幅がかなり違います。これは、消費税率引き上げに合わせて、平均9.1%(消費税率引き上げ分を含めると11.1%)の運賃改定を行うからです。

本線系の路線でさえ存廃論議が起こるほど厳しい経営環境においてはやむを得ないことですが、これによってJR北海道の初乗り運賃は170円から30円アップして200円に。JR西日本電車特定区間の130円とは、同じJRでも70円の格差が生まれます。

ただ、北海道内では在来線特急は高速バスとの競争があり、北海道新幹線は開業ブームの落ち着きで利用率向上が急務となっています。このような事情から、特急料金は消費税率引き上げ分の転嫁に留めています。

新青森-新函館北斗間の値上げ幅460円も、うち380円分は運賃で、特急料金は80円の値上げに留まっています。

なお、新幹線とは関係ありませんが、南千歳-新千歳空港間の加算運賃を、140円から20円へ大幅に引き下げます。これによって、札幌-新千歳空港間の運賃は本来200円アップのところ、80円アップ(1,070円→1,150円)へ値上げ幅が抑えられています。

(参考)

新しい運賃・料金について

JR四国

改定前 改定後 値上げ幅
初乗り運賃 幹線・地方交通線 160円 170円 +10円

 

最後に、JR四国。初乗り運賃は、JR九州と同様、10円アップの170円となります。

なお、瀬戸大橋を渡る区間(児島-宇多津)の加算運賃はこれまで100円だったのが、改定後は110円と10円アップします。

(参考)

消費税率引き上げに伴う運賃及び料金の改定について(pdf)

※運賃・料金の詳細については、JR各社のプレスリリース等によって確認するようにしてください。

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