【新大阪駅】2046年、地下要塞に?!
このところ新大阪駅の話題が続いていますが、今日は未来の新大阪駅について。
新大阪駅の最近の変化といえば、2019年3月のおおさか東線延伸開業です。これによって、新大阪駅と学研都市線(片町線)や大和路線(関西本線)が結ばれ、新大阪―奈良間に直通快速の運転も始まりました。
そしてこの先も、新大阪駅はまだまだ変化していくことが予想されています。
2031年予定:なにわ筋線開業
先日の記事でも紹介した「なにわ筋線」。新大阪駅を発着する特急「はるか」「くろしお」は新大阪-西九条間で梅田貨物線を経由しますが、これが2023年に地下化されます。それと同時に、大阪駅の北側、再開発が進められている地区に新駅「北梅田」(仮称)が開業。「なにわ筋線」は、この「北梅田」(仮称)駅に接続してきます。
「なにわ筋線」開業後、「はるか」の新大阪―天王寺間のルートは、現在の梅田貨物線〜大阪環状線経由から「なにわ筋線」経由に変わる予定です。
ただ、これだけならば新大阪駅視点としてはあまり変化はありません。
大きな変化として想定されるのは、JRだけでなく、南海電鉄の関空特急も新大阪駅乗り入れの可能性があること。現在の列車でいえば、「ラピート」が新大阪駅に姿を見せるわけです。
1994年の運転開始から25年が経過しても、今なおその独特のフォルムで人気を集めている南海50000系。
2031年時点ではさすがに後継車両にバトンタッチしていそうですが、南海の特急が新大阪駅へやってくるというだけでも楽しみな出来事です。さらに、京都まで足を伸ばすようなことがあれば、かなり話題を集めることになるでしょう。
一部報道(2019年1月22日付産経新聞)では、「なにわ筋線」開業後の関空特急用車両について、JR西日本と南海電鉄とで共同開発を行う可能性もあるとのことです。
2037年〜2045年予定:中央リニア新幹線大阪開業
中央リニア新幹線は、現在品川―名古屋間が2027年開業を目指して工事中。
計画では、名古屋から大阪への延伸が2045年となっています。JR東海では政府の財政投融資の活用などで開業を最大8年前倒しすることを見込んでいます。つまり、最短でリニア大阪開業は2037年予定。
実は、名古屋―大阪間はルートも駅位置も決まっていません。かつて東海道新幹線の大阪ターミナルをどこにするか議論があったように、リニアの大阪ターミナルの位置もこれから議論が行われます。ただ、山陽新幹線への乗り継ぎ利便性を考慮すれば、新大阪駅にリニアが乗り入れるのは確実でしょう。
問題は、新大阪駅の地上部分にはリニア乗り入れのスペースがないこと。
新大阪駅までのルートも、周辺がすでに市街地化していることを踏まえれば、東京都内や名古屋市内のように大深度地下を通過することになると思われます。そうすると、リニア新大阪駅は地下に作られることになるでしょう。
2046年予定:北陸新幹線新大阪開業
さらに新線乗り入れは続きます。現在、金沢―敦賀間を建設中の北陸新幹線も、最終的なゴールは新大阪駅です。
敦賀―新大阪間については、どこを経由するのか長い議論の末、2019年5月に小浜・京都・京田辺付近を経由するルートが公表されました(鉄道・運輸機構「計画段階環境配慮書」)。開業時期は、北海道新幹線新函館北斗―札幌間完成の2031年に着工して工期15年、つまり2046年頃と見込まれています。
遠く離れた関係のない北海道新幹線の開業までなんで待たされるかというと、国の新幹線建設に関わる予算は「着工している路線に優先して付けられる」からです。
2046年だとリニア中央新幹線も開業しています。先ほど述べたように、リニア新大阪駅は地下に建設される可能性が高いと思われます。そして、北陸新幹線も、大阪市内は基本的に地下トンネルが想定されているので、これまた新大阪駅は地下ホームとなりそうです。
そこで、国土交通省が構想しているのが、その名も「地方創生回廊中央駅構想」。
「生産性革命プロジェクト」の取り組みの一環で、2020年度予算の概算要求でも整備新幹線関連予算として「リニア中央新幹線、北陸新幹線等との乗継利便性の観点から、結節機能強化や容量制約の解消を図るため、民間プロジェクトの組成など事業スキームを検討し、新幹線ネットワークの充実を図るために必要な調査を行う」としています。
では具体的に何をするかというと、山陽新幹線から新大阪駅地下ホームへアプローチできる線路を敷き、北陸新幹線と同一ホーム乗り換えを可能にするというもの。
リニアのホームも地下に建設されると、新大阪駅地下ホームからは、リニアで東京・名古屋方面、北陸新幹線で福井・金沢・富山方面、山陽新幹線で広島・博多・鹿児島中央方面と各地に直行できるようになり、また、それら各方面相互間の乗り継ぎもできるようになります。まさに、リニア・新幹線の一大地下要塞が新大阪駅に出現。
夢はさらに膨らんで、この頃には、九州新幹線西九州ルートが(全線フル規格かどうかは別として)全通しているはず。東に目を向ければ、北海道新幹線新函館北斗-札幌間も開通済み。JR東日本の新幹線網には北陸新幹線〜高崎駅・大宮駅経由でアクセスできることから、新大阪駅から北海道から九州まで全国すべての新幹線へ直通列車を走らせることができるようになる…かもしれません(もちろん、所要時間は別として)。
このように、21世紀中盤にかけて、新大阪駅はさらに大きく変貌しそうです。
名古屋駅のセントラルタワーズに代表されるように、近年の大都市主要駅のトレンドは高層化。ただ、新大阪駅は大阪空港への着陸ルートに当たるので、高層ビルを建てにくい環境です。自ずと、駅の成長余地は地下に求めることになるでしょう。