【新幹線ビフォー・アフター】筑後船小屋駅の場合

新幹線ビフォー・アフター、今度は南へ飛びまして、九州新幹線シリーズです。

その存在が結構謎な駅、「筑後船小屋駅」を採り上げます。

筑後船小屋駅の基礎知識

もともとは、JR鹿児島本線の「船小屋駅」。新幹線開業に合わせて、駅の位置を南側に移し、かつ、駅名を「筑後船小屋」に改称しました。

新幹線と在来線の乗り換え駅ではあるものの、両者の駅舎は駅前広場を挟んで離れています。よって、乗り換えるには一旦改札を出るだけでなく、駅舎の外に出なければなりません(一応、通路に雨除けの屋根は付いています)。

駅一帯は、矢部川沿いの「筑後広域公園」として整備されています。また、駅のすぐ西側には福岡ソフトバンクホークスの練習施設「HAWKSベースボールパーク筑後」があって、新幹線の車内から大きな「Sh」マークを見ることができます。親会社が親会社だけに、設備の充実度はすごいらしい。

2013年の筑後船小屋駅

それでは、まず新幹線が開業したあとの筑後船小屋駅から見ていきましょう。

2013年1月の夜に訪れました。

在来線ホームの駅名標。

イラストは、駅から約2km離れたところにある、船小屋温泉を表しています。

新幹線へ乗り換えるのは、出口から一旦外へ出る必要があります。なので、ホームの案内も「出口」と「九州新幹線のりば」が一緒の方向です。

駅前広場の向かい側に、新幹線の駅があります。

新幹線ホームの駅名標。

2011年の船小屋駅

では、新幹線開業まで在来線にあった「船小屋駅」はどのような姿だったのでしょうか。

2011年2月(新幹線開業1カ月前)に訪れた時に撮影。

ご覧の通り、簡易な駅舎の無人駅です。

ホーム側から見た駅舎。

無造作に建っているようでいて、実は建物全体や窓枠が丸みを帯びているのがちょっとおしゃれ。

駅名標。イラストは、現在の筑後船小屋駅と同様、船小屋温泉をイメージしています(かなりテイストは違うけど)。廃駅間近なので、錆び放題なのがかえって風情を醸し出しています。

下りホームにあった、「♨船小屋炭酸温泉」の標柱。

787系特急「リレーつばめ」の下り列車が駅を通過。

新幹線開業まで、船小屋駅を挟むこの区間は特急が頻繁運転されていましたが、開業後は新幹線に移行する形で大部分が廃止。2019年3月改正後は、平日朝の上りのみ大牟田-博多間に1本だけ運転される「有明」が、唯一ここで見られる在来線定期特急となっています(しかも、筑後船小屋駅は通過)。

駅全体の遠景。現在、駅施設はすべて撤去されてしまい、駅前広場は資材置き場になっています。

開業1ヵ月前なので、新幹線の駅舎はすでに完成していました。駅前広場は整備中で立入禁止。

真新しい駅舎で開業を待つ、「筑後船小屋駅」の切り文字。

筑後船小屋駅の補足事項

開業前の様子を見ると、そもそも、なぜこんな在来線の小駅に新幹線の駅ができたのか?という疑問が沸いてきます。

一説によれば、地元を地盤とする自民党の某有力議員の肝入りで設置されたーとも言われています。

久留米-大牟田間で在来線の特急停車駅だったのは羽犬塚駅と瀬高駅(現在の特急「有明」も両駅に停車)。新幹線駅を設けるなら両駅のうちいずれかが適当のように思えます。

しかし、羽犬塚駅だと久留米駅に近過ぎ、瀬高駅だと新幹線のルートが離れているので在来線駅に併設ができません。地理的にも、両駅の中間である船小屋駅に新幹線駅設置というのは妥協の産物だったともいえます。

 

 

 

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