【新幹線ビフォー・アフター】特別編〜武雄温泉駅の場合

今日は朝から、テレビで九州地方の大雨に関するニュースがたくさん流れていて、現地の被害を心配する一日でした。

福岡・佐賀・長崎は、今年1月に旅行したばかりで、各地の風景が記憶に新しいだけに、余計に心を痛めています。被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げます。

「新幹線ビフォー・アフター」、特別編として旅行で訪れた武雄温泉駅を採り上げます。

武雄温泉駅の基礎知識

佐賀県の西部にある武雄市、その中心駅が武雄温泉駅です。開業は1895年と、100年以上の歴史があります。

駅を通っている路線はJR佐世保線ですが、実は、最初に建設された時は「長崎本線」でした(厳密には、民間鉄道である九州鉄道の長崎線。国有化後に「長崎本線」に改称)。当時の長崎本線は、肥前山口から早岐・大村経由で諫早に通じていたのです。その後、現在の有明海沿いのルートが開通し、そちらが長崎本線となって、肥前山口-早岐間は佐世保線、早岐-諫早間は大村線へと路線が分離されて、現在に至っています。

武雄温泉駅が最近話題なのは、やがてこの駅が九州新幹線西九州ルートの当面の起点駅になるからです。現在、駅前では建設工事が進んでいます。

2019年1月の武雄温泉駅

それでは、今年訪れた時の様子をご紹介します。

武雄温泉駅の北口。「楼門口」という名前が付いています。武雄温泉にある重要文化財の楼門にちなんでいますが、楼門まではちょっと距離があります。あくまで「楼門”口”」ということで。

一方、南口は「御船山口」。こちらも、御船山までは結構距離があります。

ご覧の通り、新幹線のホームは御船山口側に建設中です。

駅の東側から撮影。在来線の高架ホームの側壁が取り払われて、そこにくっつくように新幹線の駅設備が作られようとしています。

在来線ホームから見た工事現場。このホームは島式で、現在は主に下り列車が発着しています。

線路の反対側に、新幹線と対面乗り換えができるホームが作られる予定。完成後は、この線路に停車した列車のドアは両側とも開けられることになりますが、そのまま両側開けてしまうと在来線ホームから新幹線ホームに改札を通らず移動できてしまいます。ホームには新幹線に接続する特急以外の列車も発着する可能性があるので、どういう運用になるのか興味深いです。

2022年度の武雄温泉駅(予定)

ここからは将来の話。

九州新幹線西九州ルート・新鳥栖-長崎間のうち、武雄温泉-長崎間が2022年度に開業予定です。

完成後の運転形態は未定。ただし、乗客の利便性を考慮して、「武雄温泉駅で新幹線と在来線が同一ホームで乗り換えられるようにする」ことは決まっています。

新幹線・在来線の同一ホーム乗り換えといえば、思い出されるのが九州新幹線鹿児島ルートの新八代駅。

2004年の部分開業から2011年の全線開業までの間、787系「リレーつばめ」(博多-新八代)と800系「つばめ」(新八代-鹿児島中央)とが、改札を通ることなく、同一ホームで対面乗り換えができるようになっていました。

武雄温泉駅でも、新幹線開業後は同様の光景が展開されそうです。すなわち、現在は博多-長崎間を走る在来線特急「かもめ」が博多-武雄温泉間の運転に変わり(「リレーかもめ」?)、武雄温泉駅ホームで対面乗り換えとなる新幹線列車(「かもめ」?)に乗り継いで長崎を目指すという形になると思われます。

さらに将来、武雄温泉駅から東側の区間はどうなるのか?実はこれが地元では大問題になっていて、「時間短縮効果が高いから全線フル規格で建設を」と主張する長崎県と、「県内には大してメリットがないのにフル規格建設で負担額が増えるのは反対」と主張する佐賀県とが真っ向から対立しています。

もともと「2022年度武雄温泉-長崎間部分開業」の前提条件となっていた、新幹線と在来線の両方のレール幅を直通できる電車(軌間可変電車=フリーゲージトレイン)の開発が大幅に遅れている事情なども加わって、議論は混迷の度を深めているようです。

 

 

 

 

 

コメントを残す