【新幹線とは】在来線なのに走っているのは新幹線…博多南線
山形新幹線や秋田新幹線のように、案内上は「新幹線」と呼ばれていても法律上では「新幹線」ではないーという路線があります。
その一方で、時刻表や駅の表示で「新幹線」とは呼ばれないのに、実は新幹線車両で列車が運転されている路線が2つあります。
ここでは、そのうちの「博多南線」を取り上げます。
博多南線とは
山陽新幹線と九州新幹線の接続点である博多駅と、福岡都市圏の郊外にある博多南駅とを結ぶ路線です。
この路線、もともとは車両基地への回送線として作られました。博多南駅のすぐそばには、JR西日本の博多総合車両所があって、駅のホームからは広大な構内で休んでいるたくさんの新幹線車両を見ることができます。
これは2016年に博多南駅へ行った時の写真。
N700系がずらりと並んだ風景、鉄道好きには絶好のビューポイントですね〜。
なお、初めて行った2001年当時だと、100系・300系・500系が揃い踏みという、バラエティに富んだ顔ぶれを見ることができました(この時乗った列車は0系)。
車両基地への回送列車を活用して営業しているので、当然、運転されるのはすべて新幹線車両です。
ですが、博多南線は「在来線」扱いとなっています。下り列車の場合、博多を発車してしばらくは九州新幹線と同じ線路を走りますが、比較的遅い速度で進んだあと、そのまま分岐して回送線へ入ってしまいます。そういう運転形態だと、全国新幹線鉄道整備法でいう”その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる”には当たらないーということなのでしょう。
博多南線に乗ってみる
では、実際に下り列車に乗ってみましょう。乗るのは、博多駅の新幹線ホームです。
ホームの発車案内を見て真っ先に気付くのは、「列車名」がないこと。
博多南線の列車には、「のぞみ」「ひかり」「こだま」といった愛称が付いていません。基本的に全列車全車自由席で、特急券を発売する際に列車や座席の指定をする必要がないからです。
なお、「名無し」ではありますが、列車の種別としては「特急」です(愛称のない特急列車は、JRグループでは唯一)。なので、乗るには自由席特急券が必要です(100円 ※2019年8月現在、以下同様)。また、「青春18きっぷ」のような、普通列車にしか乗れないきっぷでは乗ることができません。
博多総合車両所がJR西日本所属なので、博多南線もJR九州ではなくJR西日本に所属しています。現在はJR西日本とJR九州とで運賃が異なっていて、博多-博多南(営業キロ8.5km)はJR九州だったら220円のところ、JR西日本なので200円です(つまり、博多南線だけ乗る時は300円かかる)。
列車は博多駅を発車すると、およそ8分で博多南駅へ到着します。窓の外の景色を眺めていると、あっという間に着く感じ。
駅はホーム1面だけの小さな作りです。
博多南駅ですぐに折り返せない?そんな時は
乗り鉄さんだと、ここからすぐに博多へ引き返したいところですが、回送列車を利用した運転という性格上、終点駅から折り返しの列車がすぐに発車するわけではありません。
そんな時に便利なのは、駅前を発着する西鉄バス。JR春日駅・西鉄春日原駅、西鉄大橋駅へ向かう路線が日中でも比較的多く運転されています。バスの時刻は、西鉄バスのホームページで検索したり、時刻検索アプリで調べたりできるので、単純往復では物足りない場合には使ってみてはいかがでしょうか。