【北陸新幹線】「下り」と「上り」が逆転する問題
前回の記事でみたように、現在までいろいろな案内名称が使われてきた「北陸新幹線」。
地元念願の北陸地方への延伸が実現し、2022年度末開業予定で敦賀までの延伸工事が行われています。これからは、さすがに路線名称は「北陸新幹線」のままでしょう。
しかし、北陸地方では、新幹線開業に伴って路線名称とは違う、別の問題が発生しています。それは、“「下り」「上り」逆転問題”。
北陸本線の「下り」「上り」
北陸地方の各駅から東京へ行く時に、「下り」「上り」のどちらの列車に乗ればいいのか、新幹線開業前と開業後では逆になっているのです。
まず、北陸本線の「下り」「上り」から解説します。
北陸本線は起点が米原、終点が直江津です(新幹線開業後は、並行在来線が経営分離されたため終点は金沢)。国鉄時代からそう決まっていて、東海道本線から分岐していく路線の場合、分岐駅(北陸本線の場合は米原)が起点とされたからです。
起点から終点方向へ向かうのが「下り」、その逆が「上り」なので、北陸本線の場合は
「下り」:米原→敦賀→福井→金沢→富山→直江津
「上り」:直江津→富山→金沢→福井→敦賀→米原
となります。
新幹線開業による「下り」「上り」の逆転
北陸新幹線が金沢まで開業する前は、富山や金沢から東京に向かうメインルートは特急「はくたか」-上越新幹線でした。
ここで乗る「はくたか」は、越後湯沢行の列車が北陸本線の「下り」としてやって来ます。
これが新幹線開業後どうなったかというと、北陸新幹線は東京発が「下り」なので、富山や金沢から東京へ向かう場合は、「上り」列車に乗ることになります。このように、在来線時代とは「下り」「上り」の関係が逆転しています。
もっとも、一般に「東京へ行くこと」を「上京」と言うし、東京行が「上り」というのにはあまり違和感がないかもしれません。
駅の発車案内をみても、あまり「下り」「上り」は使わず、もっぱら「○○方面」で案内していました。
(2015年1月12日@JR富山駅)
歴史上の一コマとなってしまったJR富山駅の「北陸本線発車案内」。「糸魚川・直江津方面」「金沢・福井方面」となっています。
今後の延伸時には戸惑いも?
2022年度末の金沢-敦賀間開業時も、同様に在来線との「下り」「上り」逆転が起こります。
現在は特急「サンダーバード」で結ばれている大阪-金沢間は、敦賀で新幹線に乗り換える形になると思われます。「サンダーバード」は金沢行が「下り」ですが、敦賀から乗る新幹線列車は金沢方面が「上り」になります。
東京へ行くのであれば「上り」でも違和感がありませんが、大阪から金沢へ行くのに「上り」列車に乗るというのは、さすがに受け入れられるのには時間がかかりそうです。
ちなみに、「サンダーバード」の金沢行が「下り」なのは、大阪を起点に考えたというより、北陸本線の「下り」「上り」に合わせたものと思われます。