【野球場の命名権】名前を変えた駅、変えなかった駅

日本一3連覇を達成したソフトバンクホークスの本拠地、「福岡ヤフオク!ドーム」の名前が来年(2020年)から変わることになりました。その名も、

「福岡PayPayドーム」。

球場名称の変更・「福岡PayPayドーム」について

-2019/11/01付 福岡ソフトバンクホークス

球場施設の正式名称は「福岡ドーム」ですが、ソフトバンクがホークス球団を買収して以来、命名権によって「福岡Yahoo!JAPANドーム」(2005〜2012年)→「福岡ヤフオク!ドーム」(2013〜2019年)と名称が変わり、「福岡PayPayドーム」は4代目となります。

(2011/11/05@福岡Yahoo!JAPANドーム)

(2014/09/07@福岡ヤフオク!ドーム)

福岡ドームの場合、鉄道の最寄り駅は福岡市地下鉄の「唐人町」駅。ただ、最寄りとはいっても徒歩15分ほどの距離があります。駅名に球場名を使っていないこともあり、駅の案内表示はともかく、駅名自体は球場名変更の影響は受けていません。

福岡の場合、むしろ影響を受けるのは西鉄バスでしょう。最寄りバス停はズバリ「ヤフオクドーム前」だし、博多駅前や天神のバスのりばには「ヤフオクドーム方面」といった案内表示が至るところにあります。来季のプロ野球開幕までには、これらを全部書き換えなくてはいけません。

最寄り駅の名前が変わった例ー「大阪ドーム前千代崎」

一方で、命名権による球場名変更が、最寄り駅の改称に繋がった例もあります。

オリックス・バファローズの本拠地は「京セラドーム大阪」ですが、本来の名称は「大阪ドーム」。2006年から、命名権によって名前が変わっています。

(2001/08/26@大阪ドーム)

(2014/05/18@京セラドーム大阪)

1997年の大阪ドーム開場直後に、ドームの目の前に地下鉄長堀鶴見緑地線の「大阪ドーム前千代崎」駅ができました。

しかし、2006年のドーム名称変更に合わせる形で、駅名から「大阪」を抜いて「ドーム前千代崎」駅に改称し、現在に至っています。「京セラドーム前千代崎」にしなかったのは、当時は公営交通だった地下鉄の駅名に私企業の名前が入ることを避けたのとともに、今後再び名前が変わった時のことも考慮したのではないかと思います。

ドーム最寄り駅としては、もう1つ阪神なんば線の「ドーム前」駅もあります。こちらは、2009年の開業時からこの名称です。

余談ですが、阪神電鉄の球場最寄り駅といえば、何と言っても阪神甲子園球場の目の前にある「甲子園」駅。あまりに有名過ぎてスルーしがちですが、「甲子園球場前」といった名前ではなく、単に「甲子園」と名乗っている点が目を惹きます。阪神電鉄がこの地に野球場を作った時(1924年)に、宅地開発した付近一帯を野球場と同じく「甲子園」と名付け、同時に「甲子園」駅も設置したという経緯があります。

最寄り駅の名前が変わっていない例ー「西武球場前」

関東にも、命名権によって頻繁に名前が変わっている野球場があります。

埼玉西武ライオンズの本拠地は、現在は「メットライフドーム」です。

こちらは、1979年の本拠地移転時に「西武ライオンズ球場」としてオープンし、1998年にドーム化工事進捗に伴って「西武ドーム」と改称。これが現在の球場施設としての正式名称です。

命名権が導入されたのは2005年で、「インボイスSEIBUドーム」に改称。その後、「グッドウィルドーム」(2007年)の時代を経ていったん「西武ドーム」に戻り、2015年に再び命名権により「西武プリンスドーム」へ。2017年からは現在の「メットライフドーム」を名乗っています。

(2005/05/15@インボイスSEIBUドーム)

(2009/09/27@西武ドーム)

(2017/09/30@メットライフドーム)

ドームの最寄り駅は、西武鉄道の「西武球場前」駅。

…ん?「ドーム」ではないぞ?

(2019/03/02@西武球場前駅)

実は、駅名は球場オープン時に狭山線の「狭山湖」駅を移転改称した1979年以来、一貫して「西武球場前」で変わっていません。命名権導入前のドーム化の際にも、駅名改称は行われませんでした。

首都圏の場合、駅名を変えるとなると相互乗り入れ先や連絡運輸相手の事業者も巻き込んで相当多額の費用が発生すると言われています。よって、よほどの事情がない限り駅名は変えられないという事情もあるようです。「西武ライオンズの本拠地球場前」という意味では決して間違っておらず、今後西武鉄道が球団保有を続ける限りはこの駅名が維持されるのではないでしょうか。

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