【W杯】2002年に行われた新幹線の観客輸送

1カ月以上にわたって盛り上がったラグビーW杯が閉幕。

開催期間中、全国各地で行われた試合に国内だけでなく海外からも観戦客が多数来場したので、思わぬところで外国人の観戦客グループと出くわした人も多いのではないでしょうか。

わたしもその1人で、9月23日に静岡駅から品川駅まで新幹線「ひかり」に乗った時、途中の新横浜駅でその日試合があったアイルランドのファンが指定席車に大挙乗り込んできてびっくりしました。

新横浜駅から東京駅まで「ひかり」指定席で移動とかかなり割高ですが(自由席だと特定料金で安い)、予め代理店が用意したのか、あまり新幹線の料金体系をよく知らないまま窓口で購入したのか、分かりませんが本人たちは非常に楽しそうでした。

さて、新横浜駅が最寄りの会場といえば、11月2日に決勝も行われた横浜国際総合競技場です。

(2007/12/16@横浜国際総合競技場)

「横浜国際総合競技場」と聞いて、「いや、『日産スタジアム』では?」と思ったりもしますが、ラグビーW杯のような国際大会の場合、命名権を持っている会社の同業他社が大会スポンサーに入っていたりすると、大人の事情で元の名前に突如として戻ることがあります。「味の素スタジアム」も、同様の事情でラグビーW杯期間中は「東京スタジアム」と呼ばれていました。

さて、決勝戦を観戦すべく、新幹線を使って新横浜駅へ降り立った観戦客も相当多かったようで、これが思わぬ形で世界に紹介されました。

Rugby World Cup final: England fans glued to South Africa clash

(ラグビーW杯決勝:イングランドのファンは南アフリカとの対決に釘付け)

-2019/11/02付 BBC NEWS

記事に挿入されている写真では、新横浜駅で自撮りしていたり、品川駅新幹線下りホームで列車の到着を待っていたりと、新幹線を使ってスタジアムへ駆け付けたイングランドのファンの姿が捉えられています。



ここからは、少々懐かしい話を。

「W杯」といえば、今から17年前の2002年に、サッカーのW杯が日韓共同で開催されました。

新幹線も観客輸送に大活躍したわけですが、当時の写真、まずはこの1枚をご紹介します。

(2002/06/15深夜@JR新潟駅)

決勝トーナメント1回戦、イングランド-デンマーク戦が新潟スタジアムで行われた日のJR新潟駅新幹線発車案内です。

一見して驚くのは、発車時刻でしょう。「0:50」「1:00」という、通常ではあり得ない時刻に発車していくという案内です。

実は、この日の試合開始が20:30とかなり遅い時刻だったので、試合終了後に首都圏へ帰る観戦客のために、新潟発23:20発から1:40発まで10分間隔で東京行の臨時「あさひ」「Maxあさひ」が15本運転されました。

深夜帯に、新幹線の臨時列車を予め計画して運転するというのは前代未聞です。通常なら0時〜6時は沿線の環境対策や保守間合いのために営業運転は行いません。この時は、「W杯観客輸送」という世界的なビッグイベントに対応するための極めて例外的な運転でした。なお、沿線環境に配慮して、停車駅が長岡・越後湯沢・大宮・上野と速達タイプでありながら、新潟-東京間は2時間58分と速度を抑えての運転となっていました。

続いてはきっぷの写真。

(2002/06/21@こだま417号車内)

静岡スタジアムエコパで行われた準々決勝・ブラジル-イングランド戦を見に行くために、東京駅から「こだま417号」に乗った時の写真です。

首都圏からエコパへ行くには、新幹線で掛川駅まで行き、在来線に乗り換えて愛野駅で下車するルートとなります。そこで、JR東海は往復の新幹線自由席特急券と乗車券をセットにした「エコパ観戦きっぷ」を発売。これを利用して観戦に出掛けました。

券面表示をよく読むと、乗り換え駅である掛川駅以外の途中下車は認めないという注意が書かれています。あくまで「エコパへ行くためのきっぷ」という性格をよく現しています。

この日の試合は15:30開始だったので深夜輸送はなかったのですが、6月11日のカメルーン-ドイツ戦は試合開始が20:30と遅かったので、JR東日本と同様、JR東海でも新幹線の深夜運転を行いました。

運転された臨時列車は、掛川始発で発車が23時台・0時台、上り東京行は15分間隔で6本(途中停車駅は熱海のみ)、下り名古屋行は40分間隔で2本(途中停車駅は浜松のみ)。JR東日本と違うのは、列車に「ひかり」「こだま」といった愛称が付かず、「特別号」として運転されたことです。

当時の運転状況は、かなり年月が経ったのでネットで検索してもあまり出てきませんが、JR東日本のプレスリリースのページには比較的まとまった表が残されています。

「2002FIFAワールドカップ」大会期間中の対応について

-2002/04/08付 JR東日本 プレスリリース

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