【台風19号】浸水したE7系・W7系10編成は全車廃車へ
台風19号による千曲川氾濫で浸水被害に遭った北陸新幹線E7系・W7系10編成。
その後もずっと長野新幹線車両センターに留置されたままで今後の取り扱いが注目されていましたが、「全編成廃車」の方向で固まったようです。
きょう11月6日、JR東日本が自社保有のE7系8編成について、廃車すると明らかに。
-2019/11/06付 NHK NEWS WEB
JR東日本の社長記者会見において、廃車して代替車両を新造すると明らかにされたそうです。
北陸新幹線、96両を廃車に…JR東社長「新しく作る方が適切」
-2019/11/06付 読売新聞電子版
JR西日本のW7系で被災した2編成も、同様に廃車の方向であると伝えられています。
-2019/11/06付 日本経済新聞電子版
JR東日本では、来年春(ダイヤ改正時?)には「あさま」も含めた全体の列車本数を通常ダイヤに戻すことを目指すとしています。
各種報道で「北陸新幹線用の車両は全部で30編成」と案内されていますが、この「30編成」は、JR東日本が保有するE7系19本(F1〜F19編成)と、JR西日本が保有するW7系11本(W1〜W11編成)とで構成されています。
今回の水害では、E7系8本・W7系2本が被災。今日の報道によれば、これらが全て廃車となり運用から離脱を余儀なくされます。
JR東日本は現在、上越新幹線用E7系の投入を進めていて、10月時点でF20〜F25編成の6本が落成。日経新聞電子版で「北陸は26編成まで回復する」と説明しているのは、これらをすべて北陸新幹線用に回すことを指しているものと思われます。なお、「上越新幹線用」とはいっても性能面は北陸新幹線用と同じで、転用は可能。
---【2019/11/07加筆修正】---
福井新聞電子版で、車両運用に関して詳しい記事が出ました。
-2019/11/07 福井新聞電子版
この記事によると、日経新聞電子版が示した「26編成」は、
(1)もともと北陸新幹線用で浸水被害に遭わなかったE7系・W7系20編成
(2)上越新幹線用に投入したE7系3編成のうち予備の1編成(ピンク帯を巻いていないF20編成?)
(3)新造のE7系1編成(F23編成…ネット上で運用開始の目撃情報あり)
(4)11月末までに新たに運用入りするE7系1編成(F24編成?)
(5)2020年3月末までに新たに運用入りするE7系3編成(F25〜F27編成?)
から成ります。
10月25日からの暫定ダイヤは、これらのうち(1)〜(3)の22編成で運用中。
(4)の1編成が入った段階で、金沢直通系統(「かがやき」「はくたか」)の運転本数が通常ダイヤに戻る予定(11月30日から?)。
さらに、(5)の3編成が入った段階で、「あさま」の運転本数も通常ダイヤに戻すという段取りです。
このような運用であれば、上越新幹線用のE7系が2編成残るので、いったんE7系に置き換えた「とき」「たにがわ」を再びE2系やE4系に戻すような事態は避けられそうです。ただし、E7系の追加投入は止まることから、そのぶんE2系やE4系が淘汰されるスピードは確実に遅くなるでしょう。
---加筆修正 ここまで---
もっとも、「26編成体制」まで回復しても予備車が少ない状況には変わりありません。当分の間は、多客期の臨時列車の運転本数が少なくなるなどの影響は残りそうです。
気になるのは、長野新幹線車両センターがいつ復旧するかという点。ここが復旧するには、浸水した設備を補修した上、廃車となる10編成120両の車両を運び出すか、あるいはその場で解体撤去するかしないといけません。
現在の暫定ダイヤで長野止まりの「あさま」の削減率が高いのは、長野新幹線車両センターの入出庫ができない状況が大きく影響しているはずです。編成本数だけでなく、センターの復旧具合も通常ダイヤへの復帰のカギになると思われます。