【非新幹線ネタ】日高本線一部廃止へ、気仙沼線・大船渡線BRT区間は鉄道事業廃止を届出

新幹線とは直接関係ありませんが、乗り鉄として避けては通れないニュースがあったので採り上げます。

JR日高本線 鵡川-様似間廃止へ

日高線 鵡川・様似間バス転換へ

-2019/11/12付 NHK 北海道 NEWS WEB

JR日高本線は、2015年1月に高波による土砂流出が発生したため、鵡川-様似間116.0kmが現在に至るまで不通、代行バスによる運転となっています。

多額にのぼる復旧費用、復旧後に予想される赤字に折からの経営不振も加わり、JR北海道は2016年、日高本線の不通区間について従来通りの単独での鉄道路線維持は困難との見解を打ち出し、鉄道を廃止しバスへ転換する案を沿線自治体に打診しました。沿線自治体の中でも、「バス転換」「一部は鉄道維持」「全線鉄道で復旧」と意見が分かれていましたが、きょう行われた沿線自治体の会議で「バス転換」を前提にJR北海道と協議に入ることが決まりました。

沿線自治体とJR北海道との具体的な協議はこれから始まるので、すぐに鵡川-様似間が廃止されるわけではありません。しかし、地元が廃止を容認したことで、近い将来、時刻表の索引地図からこの区間が消えることは確実になりました。

JR日高本線は、今から19年前、2000年7月に1往復乗車しました。

(2000/07/10@JR様似駅)

(2000/07/10@JR様似駅)

(2000/07/10@JR様似駅)

写真でも分かるように当日は好天で、のんびりと太平洋岸を走る列車から、車窓風景を存分に楽しんだ記憶があります。

もっとも、地元で日常利用する人、趣味で乗りに来る人以外に、日高本線へどれだけ乗客を呼び込めるか?といえば、厳しい現実があります。沿線の観光資源といっても、知名度の高い襟裳岬には終点の様似から微妙に距離があるし、そもそも、日高本線自体の線形が悪いので時間が掛かります(被災直前のダイヤで、苫小牧-様似間146.5kmを直通する列車の最速は3時間00分、表定速度48.8km/h)。北海道に限らず、全国各地で人口が減少傾向にあるなか、ローカル線の採算確保には地元客以外の利用を増やしていくことが不可欠で、それが見込まない立地だと、今後鉄道の維持はどんどん難しくなっていくでしょう。

JR北海道では、今年3月の石勝線夕張支線(新夕張-夕張間)の廃止に続き札沼線の末端区間(北海道医療大学-新十津川間)の廃止(2020年5月)もカウントダウンが始まっていて、経営維持のためにはやむを得ないとはいえ、路線の廃止は寂しいものがあります。

JR東日本、気仙沼線・大船渡線BRT区間の鉄道事業廃止を届出

もうひとつ、JR東日本関係でも、路線網に関する大事なニュースがありました。

気仙沼線(柳津~気仙沼間)及び大船渡線(気仙沼~盛間)における鉄道事業廃止の届出について(pdf)

-2019/11/12付 JR東日本プレスリリース

JR気仙沼線・柳津〜気仙沼間と大船渡線・気仙沼〜盛間は、2011年3月の東日本大震災で甚大な被害を受けたあと、鉄道での復旧を行わず、線路敷や沿線の一般道を活用したBRT(バス高速輸送システム)での復旧となっています。

鉄道線との接続駅である気仙沼駅や盛駅では、鉄道ホームに直接BRTが乗り入れています。いずれの路線も震災前に何回か乗ったことがあるので、線路があったところに舗装道路が延びている光景を見るたび、複雑な心境になります。

(JR気仙沼駅@2017/03/19)

(JR気仙沼駅@1998/07/05。東北本線・石巻線・気仙沼線経由で仙台から直通していた快速「南三陸」)

BRT運行開始から年数が過ぎ、沿線では各駅(停留所)の設備もすっかり整備されて、もはや「暫定復旧」とはいえない段階まで来ています。

しかし、営業案内上はJR東日本の鉄道路線網の一部として扱われ(運行情報でも東北エリアの路線として扱われている)、「三連休東日本・函館パス」のような「JR東日本全線乗り放題」のフリー乗車券では乗車可能な区間に含まれています。

それが今回、正式に鉄道事業の廃止が届け出られたことで、届出による事業廃止が行われた時(鉄道事業法によって届出から1年後。ただし繰り上がる場合あり)、これらの区間は名実ともに「鉄道路線」から「バス路線」へと変わります。

JR東日本のプレスリリースでは、「BRT は道路運送法に基づき運行しており、鉄道事業の廃止による運行・サービス水準の変更はございません。」とされています。日常の利用には影響はないと思われますが、バス路線化することで、時刻表の索引地図での表示が変わることはあり得ます。もっとも、時刻表本文の扱いは、分かりやすさを重視すれば、従来同様、鉄道線の一部であるかのように載り続けるでしょう。1997年の北陸新幹線部分開業により並行在来線として廃止された横川-軽井沢間のJRバスも、多くの時刻表では本文で信越本線・しなの鉄道と同じページに載っています。

また、「乗り鉄」趣味的には、「鉄道全線乗車」を目指す際にBRT区間を含めるかどうか、ルール設定で悩む人も出てくるはずです。この際、ほとんどの人は含める方向で考えると思いますが、含めたなら含めたで、ならば他の鉄道廃止代替バス(さきほど挙げた横川-軽井沢間など)はどう扱うのか、といった問題にも直面します。あくまで趣味の世界の話ですが、今後いろいろ考えなければいけないことが増える出来事だといえます。

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